[ニコニコ雑記] 追悼 Sly Stone
こんにちは、店長の野呂です。
先日現地時間の6/9にSly Stoneが亡くなり、そのニュースはすぐに私の元にも届きました。
スライは私が最も敬愛する音楽家です。
世界中で称賛され語り継がれている彼の功績について私が今更何か言うことは野暮に感じますが、ブラックミュージックとロックを融合させ人種や性別の垣根を超えて音楽を残したこと、ファンクやサイケの発展に寄与したこと、リズムボックスやサンプリングを駆使して全く新しいサウンドを創出したことなど挙げていけばキリがありません。
現代で多くの人々に聴き親しまれているHip-Hopの分野においてもSlyはサンプリング元として定番で、後年に与えた影響の大きさは計り知れないでしょう。
またあらゆる偏見や差別の否定といった力強いメッセージ性は時代を超えて評価されるべきものです。
特にスライ&ザ・ファミリー・ストーンの代表作として知られている『暴動』 (There’s a Riot Goin’ On) はこれまでに私が最も繰り返し聴いた一枚です。
演奏の大部分はスライが自宅スタジオで一人で録音したものとされており、全体的にデッドな質感のサウンドが特徴的です。
繰り返しオーヴァーダブを重ねたことによるサチュレーション、テープの揺らぎによるピッチの微妙な揺らぎ、くぐもって不穏な雰囲気が渾然一体となったサウンドは、アルバム通して陰鬱でクールな印象を与えています。
よく知られた話ではありますが、面白いのがアルバムの表題曲である「There’s a Riot Goin’ On」がA面の最後である6曲目に配置され、収録時間が0分0秒と記されている点です。
これには”いかなる暴動も起こって欲しくない”という願いが込められており、そのために演奏時間がないとスライは後に説明しています。
私が知っているスライの最後の姿は初来日として2008年の東京JAZZに出演した時のものですが、両手でピースサインを掲げたスライの姿は今後も忘れないでしょう。
Rest in Peace, Sly Stone.
今回はこの辺で。
