[ニコニコ雑記] Fenderの新パーツ ~Strat RSD Trem~

こんにちは、店長の野呂です。

最近入荷したFender Custom Shop製のギターに、何やらいつもと異なるブリッジが搭載されているモデルがございました。
今回はそのブリッジに関してのお話です。

まずは以下の写真を見比べてみてください。

ぱっと見はどちらも6点支持のヴィンテージタイプに見えます。
しかし左の写真をよくご覧いただくと、アーム差し込み用の穴の隣にもう一つ小さな穴が設けられていることに気づきます。

こちらがカスタムショップの特別研究部門によって開発された “Strat RSD Trem” となります。
(RSD=Research Special Division)

大きく3点の違いがございますので、順に見て参りましょう。

一つ目は、アームの取り付け方法の違いです。

写真を見ての通り、Strat RSD Tremのアームは従来品のようにネジが切られていません。
ポップイン式といって、アームをグッと押し込むような形で取り付けいたします。
近年ではアメリカンプロフェッショナルシリーズでも同様の取り付け方法が採用されていますね。

メリットは大きく二点あり、一つは適切なトルクでアームがプラプラせずに止まってくれることです。
固すぎることもなく、非常に扱いやすい調整となっています。

そしてもう一点は、アーミング動作の際に遊びがなくカタカタとしないため、繊細なアームコントロールを可能にしている点です。
従来品ではどうしてもアップでもダウンでも遊びがあり、それをなくすためには小さなバネをネジ穴に仕込む方法が主流でした。(この小さなバネは”トレモロアームテンションスプリング”と呼ばれています。)
しかしそれではトルクが固くなりすぎたり、アームを外している間にバネを紛失してしまったり、バネの張力がだんだんヘタってきてしまったりなどといった扱いにくさがありましたが、見事に改善されています。

二つ目の違いが、弦間ピッチです。
通常、カスタムショップのヴィンテージリイシューモデルは11.3mmピッチですが、Strat RSD Tremの弦間ピッチは10.5mmとなります。

この10.5mmピッチはGibson製品やPRS製品と同様の数値となっており、他の楽器と持ち替えた際に違和感が少ないという点がメリットと考えられます。
他にも、1弦や6弦でヴィブラートした時などに弦落ちしにくいといった利点もあるかもしれません。

ブリッジ上での1~6弦までの幅で考えると約52.5mmと約56.5mm。
実に4mm程の差があると考えると、結構大きな違いに感じられます。(上の写真で見比べてもわかるくらいの違いがありますね。)
3フィンガーなどの指弾きでは広い弦間ピッチが好まれることもありますが、ピック弾きでは一般的に弦間ピッチが狭い方が弾きやすいと言われていますね。

そして三つ目の違いには、最初に指摘したアーム差し込み用の穴の隣に位置する小さな穴が関連いたします。
こちらは六角レンチを回すことでアームのトルク調整が可能な機構となっています。
回してみると実際の調整幅はそこまでありませんでしたが、やや緩め~やや固めを調節できるのは画期的ですね。
(緩め切ってもプラプラするまでにはなりませんでした。)

今後は少しずつこのブリッジを搭載したカスタムショップ製のギターが増えてくるかもしれませんね。
現在はまだこのパーツは単体での販売がされておらず、カスタムショップ製の一部のギターに採用されているのみです。
個人的にはアーミング時の遊びの少なさや操作性がとても好印象でしたので、パーツ単体での販売を待ち望んでおります。

今回はこの辺で。

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