Greg Fessler ~マスタービルダーになるとは思われていなかった男~前編

現在62歳、マスタービルダー達の中でも最古参となるグレッグ・フェスラー。

今や絶対的な信頼を置かれるビルダーですが、入社当社はまさかマスタービルダーになるとは思われていなかった人物だったそうです。

初期フェンダーカスタムショップのビルダー達にて叩き上げられたカスタムショップの”作品”とも言われるグレッグについて少し深掘りしていきます。

1961年5月11日、カリフォルニア州ロスアンゼルスに生まれる。

フェンダーの元フラートン工場のすぐ近くに移り住むことに。

1990年、グレッグが29歳の時にフェンダーカスタムショップの一員となります。

元々、電気通信関係の仕事をしていたグレッグですが、なんとこの時点ではギター製作に関しての詳しい知識を全く持っておらず、フェンダーでは見習いとしてまさにゼロからのスタートします。

なぜ未経験の人物がカスタムショップで働くことになったのか?

その経緯に関しては全くの謎ですが、文献ではなぜか当時の総責任者のJohn Page (ジョン・ペイジ)が全幅の信頼を置いていたと語っています。。。

当時のカスタムショップは非常に規模は小さく、発展途上段階だったため、未経験のスタッフも雇い入れていただけな気がしますね。

さて、そんなグレッグが入社後すぐに加わったプロジェクトは
“KUBICKI Project”(クビキ・プロジェクト)
と呼ばれるもので、Duran DuranのJohn Taylor(ジョン・テイラー)やStuart Hamm(スチュアート・ハム)が使用したことでも知られるPhil Kubicki(フィル・クビキ)によりデザインされたThe Factor Bass(ファクターベース)の生産でした。

ちなみにフィル・クビキは、60年代から70年代前半までフェンダーに在籍していたビルダーで、テレキャスターシンラインのデザインやかの有名なジョージ・ハリソンのオールローズテレキャスターを製作したことでも知られる人物です。

当時カスタムショップは外部からのOEMも受けていており、このベースはOEM製品としてフェンダーで生産されました。

このファクターベースですが、人間工学に基づいた設計/ヘッドレス/アクティブアンプ等々、スタインバーガーのようなスペックのベースで、初めて製作する楽器としては、非常に構造が複雑で緻密な加工が多いものでした。

このプロジェクトはおおよそ1年間続き、製作について何も知らなかったグレッグは多くのことをこの製作で学びました。

そして入社後から約3年間もの長期間(プロジェクト期間も含めて)に渡り、指板とフレットの仕上げを中心に取り組むことになります。

この3年間を
“その経験こそがギター製作者としてのプロ意識を学ぶ本当に貴重な経験だった”
とグレッグは振り返っています。

3年目からは続けていたネックの仕上げの作業と並行して、Gene Backer(ジーン・ベイカー)のApparentice(弟子)としてロベン・フォードモデルの製作にも取り組みます。

ここから彼のフェンダーでの立場が大きく変わっていきます。

~続く~

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