ジェームス・タイラー その7

前回はこちら
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/ジェームス・タイラー-その6/

さて、新モデルの製作やピックアップメーカーの立ち上げ等、ノリに乗っているタイラーの次なるステップは、なんと新しいギターブランドの設立でした。

2006年、”Joe-X Guitarworks”という”James Tyler”とは別ギターブランドを日本向けにリリース。

驚くことに販売当初は、
“LAに工房を構える新ブランド。ルシアーに関しては詳細不明”
という謎のブランドとして発表されていました。(わりとすぐカミングアウトしたようですが)

日本の雑誌内では、James Tylerと合わせて謎のブランドとして特集されている記事が見かけられました。

Joe Xでは、ボディは唯一無二とも言える組み合わせのアルダーセンター&アッシュ/マホガニーウィングという特徴的な構成になっています。

ボディカラーは、最初はつぶしの普通のカラーでしたが、2007年には”THE RAT”というタイラーらしい奇抜なルックスのギターが製作されます。

-メタルスリーブ(ネックジョイントを固定するためにネックポケット内にネジに合わせて設置される円柱の金属)
-ブリッジサドルの先を尖らせた”コーン・ポイント”
等、後のタイラーギターに使用されるスペックがこのブランド内で開発されています。

後述する事情で、生産本数の非常に少なく終わったため、現在では市場に流通することがあまりない比較的レアなギターとなっています。

ちなみにこの頃のタイラーから、事業の拡大にも合わせて、CNCルーターやコンピューター制御の機器を少しずつ導入はしていたようです。(どの程度使用していたかは定かではありません。)

そして2007年、Line 6からのオファーを受けて、モデリングギターの共同開発に携わることになります。

1本のギターにさまざまな種類のギター・サウンドを搭載し、それらを手元の操作だけで素早く呼び出せるモデリングギターの”Line 6 Variax”。

2002年に発表されたモデルで、ブリッジやピックアップにはタイラーにより新たに製作されたカスタム・モデルが使用されることで、モデリングギターとしてだけでなく、エレキギターそのものとしてのクオリティが向上させられました。

S-S-Hのストラトスタイル、レスポールスタイル、HH&24フレットのストラトスタイルの3種類が発売されました。

余談ですが、最近ではUSAメイドの完全受注生産品が発表されていましたが、現在は50万円から60万円と驚異(?)の新品価格となっています。(2000年代に販売されていた頃は10万円台)

これまでのキャリアにはなかった他社とのコラボレーションや新ブランドの立ち上げと、非常に精力的な活動を続けていたタイラーでしたが、実はLine6からのオファーを受けた同じ時期に思いがけないことが、彼の身に降り掛かっていました。

~続く~

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