[ニコニコ雑記] Fender製品コントロールのバリエーション その6 ~Esquireのコントロール~

こんにちは、店長の野呂です。

今回も前回までに引き続き、Fenderギターのコントロールについてです。

1PUであるにも関わらず、なぜか3wayセレクタースイッチが搭載されている“Esquire”のコントロールを紹介いたします。

ご覧の通り、リアにただ1つだけピックアップが搭載されているエスクワイヤー。
このモデルが正式にデビューしたのが、1950年7月の第49回NAMM Showでした。
(スネークヘッドのプロトタイプが1949年にすでに生産されていますが、こちらも1PU仕様。)

夏の終わり頃になってエスクワイヤー(2PU仕様)が登場しますが、先発の1PU仕様と販売戦略的に名称を差別化した方がよいという判断により、50年の秋頃にはすぐ”ブロードキャスター”と改名されます。

このような経緯であることから、2PUモデルより前から存在していた1PUのエスクワイヤーこそがフェンダーの元祖エレキギターと言っても過言ではありませんね。

ではコントロールを見ていきましょう。
(ボディエンド側からネック側にかけてポジション1~3と記します。)

ポジション1:リアPUトーンバイパス (トーン調整不可)

ポジション2:リアPU (トーン調整可能)

ポジション3:リアPUプリセットハイカット (トーン調整不可)

そしてコントロールノブは、マスターボリュームとマスタートーンです。
全てのポジションでマスターボリュームは有効ですが、マスタートーンはポジション2でのみ有効であるのが特徴です。

配線の写真がこちら。
1PUというシンプルなルックスに反して、3つのコンデンサと1つの抵抗が組み込まれています。
前回に取り上げました、同時代の2PUのテレキャスターよりもコンデンサの数が多いのが面白いですよね。
’69年に製造中止となるまで、基本回路に変更はなかったようです。

さて、ここで一つの疑問が浮かび上がります。
「トーンをMAXにしたポジション2の音は、結局ポジション1と同じ音なのではないか」と気になりますよね。
実際は面白いことに、トーン回路をバイパスしているポジション1の方がよりプレゼンス成分が強くギラギラとエッジのあるサウンドに感じられる気がします。
(私はこのサウンドが好きで、自身のテレキャスターのコントロールはフルアップした時にトーンコントロール回路がバイパスした状態になる”NO-LOAD pot 250k”を組み込んでいます。)

最後に、ただいま当店にはCS製エスクワイヤーの珍しいモデルの在庫がございますので、紹介させてください。

Fender Custom Shop 2018 Limited Vintage Custom 1950 Double Esquire Relic (Chocolate 3tone Sunburst) です!

こちらは上述した通り、短期間のみ存在していた2ピックアップ仕様のエスクワイアを再現したモデルとなっています。

コントロールは以下の通り。
(ボディエンド側からネック側にかけてポジション1~3と記します。)

ポジション1 : ブレンドノブ10でフロントのみ、0でリア+フロントのミックス (トーン調整不可)

ポジション2 : リアピックアップのトーンバイパス (トーン調整不可)

ポジション3 : リアピックアップのプリセットトーン (トーン調整不可)

コントロールノブは、マスターボリュームとブレンドとして働きます。
つまりマスタートーンがないため、いずれのポジションでもトーン調整は不可能な仕様です。

まず驚きなのが、一般的なテレキャスターでフロントPUが選択されるポジション3で、リアピックアップのプリセットトーンが選択される点ですね。
事前に情報を知らないままいきなり触ったら混乱してしまいそうです。

このプリセットトーンは従来のモコモコのハイカットトーンではなく、ちょうどいい塩梅にハイとローを絞った絶妙な使いやすさとなっている点も見逃せません。
写真を見ての通り、黄色いコンデンサと抵抗がプリセット用に使用されています。
コンデンサは”Fender Pure Vintage YELLOW Amplifier Capacitor 0.01uf 600V”という名称で、名前の通り50年代半ば〜60年代前半のFendアンプに使用されていたものを復刻したモデルです。
容量は普段ギターに使用されている一般的なコンデンサの1/10〜1/5程度で、カスタムショップ製であってもこのパーツがギターに採用されることは非常に稀です。

また、ポジション1ではフロント単体、リア+フロントのパラレルミックスのサウンドも出すことが可能です。
この通常リアPUが選択されるポジションでリア単体の音が出ないというのも混乱を招きやすい気もしますが、他のモデルでは見られない独創的なコントロールは面白いです。
(普通のTLのコントロールがいい!という方のために、カレント配線用コントロールアッセンブリーセットが元々付属します。)

店頭でもちろんご試奏いただけます。
個人的なイチオシモデルですので、是非ともご来店の上、お試しいただけましたら幸いです。

今回はこの辺で。

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