ジェームス・タイラー その3

前回はこちら
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/jamestyler2/

当時、タイラーギターのヘッド・シェイプは、まだフェンダーのそれと殆ど変わらない様なものでした。

その頃に作っていたカスタムギターは、フェンダーヘッドにJames Tylerロゴを組み合わせたものも多く、マイケル・ランドウやダン・ハフが雑誌の写真で持っているのも確認されます。

ライブやTVの中でタイラーの作ったカスタム・ギターを演奏する顧客たちを見ている中、タイラーは自身のブランドとしてのアイデンティティーとなるデザインを作るべきだと思い、オリジナルのロゴとヘッドシェイプのデザインに着手します。

その後、満を持して、タイラーのトレードマークとなるオリジナルヘッド&ピックガードシェイプのスタジオ・エリートモデルが、1987年のL.A.ギターショーで一般公開されました。

この時、タイラーは36歳。

1988年、スタジオ・エリートモデルはスティーブ・ルカサーを含む多数のミュージシャンの手に渡って行きました。

ちなみに当時のジムバーストのスタジオエリート(フロイド仕様)のリテールプライスは$1500。

ヴァン・ヘイレンのベーシストであるマイケル・アンソニー(Michael Anthony)も顧客の一人。

彼の使ったあの有名なジャック・ダニエルベースは、実はタイラーの手により製作されたもの。

大元のオリジナルはマイケル本人と彼のテックのケヴィン・デュガン(Kevin ‘Dugie’ Dugan)の二人で作られましたが、この形のままより実際に使える良いベースが欲しいということでタイラーに依頼されたようです。

ジャック・ダニエルベースと同時にタバスコベースも製作しています。

余談ですが、ジャック・ダニエルベースについて。

当初テックのケヴィン・デュガンがマイケルはジャックを愛飲しているからという理由からジャック・ダニエルのベースを作ろうとマイケル・アンソニーに提案したときに、マイケルはそんな馬鹿げたベースあるか?と乗り気ではなかったようです。(結局任せて作りますが)

ケヴィンは、まずジャック・ダニエル社とコンタクトをとり、許可を得ることから始めました。
そこで結ばれたのは”3本のみ製作を許可する”という契約でした。
ジャックダニエルベースはそれに従って、3本作られています。

1本目は、ケヴィンが製作したもので、現在はRock And Roll Of Fameに。
2本目は、ジェームス・タイラーが製作したもので、現在はマイケルのウェアハウスに保管。
3本目は、現在Fenderに在籍しているJohn Gaudesiにより、彼がYAMAHAにいた頃に製作したもので、現在でもマイケルが使用しているものとなっています。

さて、“Either you know or you don’t”(知る人ぞ知る)というキャッチコピーの通り、この頃も当然大きく広告を出すこともなく、ヘッドシェイプとピックガードを見たプレイヤーたちの噂や口コミのみでタイラーの名前はどんどんと広がっていきました。 

~続く~

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