Kramer VHBのお話。

今回はKramer VHBのお話です。

まず、「VHB」がなんの略称かと申しますと「Voyager Headless Bass」だそうです。

このモデルがKramerのカタログに登場するのは1982年。

Kramerは元々アルミネックの楽器製作から始まったブランドで、
1980年代に入るまで木のネックの楽器は製造されていませんでした。

これはGary Kramerがこれまたアルミネックで有名な”Travis Bean”の
立ち上げメンバーだったことも影響しています。

しかし前述の通り木製ネックの楽器を生産できる体制が整うと、
アルミネックの楽器はカタログから姿を消しました。

VHBも例外ではなく、83年には同型のボディの楽器は生産されるも、
ネックは木製で他モデルと共通のものに差し代わっています。

ちなみに”ヘッドレス”という視点で言うと、Steinbergerが設立され、
“L2 Bass”が販売されたのが1980年なので、
ヘッドレスの楽器としてもかなり初期に誕生しています。

さて話を楽器に戻すと、VHBは

・ヘッドレス
・アルミネック
・ミディアムスケール

というかなり尖ったスペックの楽器ですので、
構造的に面白い箇所がたくさんございます。

まずはペグ部分。

通常のペグがボディエンドに取り付けられています。

そのままのボディ厚ではストリングポストが表に出ず、
ペグも回せないためボディエンドは薄く削り取られています。

現行の楽器だとWarwickのNobby Meidelモデルにもこの構造が採用されています。

続いてネック。

この個体のネックは塗装されているため分かりづらいのですが、
T字型の骨格に木製の握りがついているような構造です。

おそらく「木の握り心地と金属の剛性」のいいとこ取りを目指したのだと思います。

また指板は樹脂製で、0フレットが採用されている点もSteinbergerと似た雰囲気を感じます。

横からネックジョイントを見ると、アルミの部分と木製の部分がそれぞれ確認できます。

最後に電装系。

PUはオリジナルのJBXモデルが2機並べた状態でハムバッカーのように搭載されていて、
ミニスイッチで直列/並列/タップが選択できます。

コントロールノブはボリュームとトーンです。

他の誰とも被らないロマンある楽器が欲しいという方、是非検討してみてくださいね。

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