Todd Krause ~アーティスト・ビルダー6~

Todd Krause ~アーティスト・ビルダー6~
前回はこちら
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/todd-krause-5/

ブラッキーやクラッシュを手がけてきたトッドですが、実はエリッククラプトンシグネチャーのカタログモデルの様々な部分に大きな影響を与えています。

当初のレースセンサーピックアップからノイズレスピックアップへの切り替えもトッドにより提案されたもので、クラプトンは相当気に入ったようで、自身のシグネチャーモデルに搭載する許可もすぐに出しています。

またネックの塗装に関しても貢献しています。

シグネチャー制作時のクラプトンからのリクエストはサテンのようなフィールを保ちつつ、塗装が溶けたりせずにべたつくようなことが無い塗装。

初期のクラプトンモデルのネックは”Zap”と呼ばれる非常に粘度の高い瞬間接着剤をを採用していました。

木に浸透させて限りなく薄く削るという工程を繰り返すという方法だったそうですが、ここで使用される塗料が非常に有毒なもので、作業中には目や肺が焼かれるような痛みに襲われたそうです。

その有毒性を避けるためにトッドは新しい方法を生み出しました。

なんとそれは通常のウレタンフィニッシュを特定方法でサンディング(研磨)をすることで、ベタつくことなく、サテンのような触り心地を実現したそうです。

またトッドは、自身が大ファンでもあるロビン・トロワーのモデルの開発に大きく関わっています。

トッドからのリクエストは
-フラットな指板
-ジャンボフレット
-ラージヘッド
-ヴィンテージタイプのサドルとトレモロ
-5wayスイッチ
とシンプルなものでしたが、ピックアップだけには強いこだわりを持っていました。

トッドとロビンの二人は時間をかけて様々なコンビネーションや種類を試みた結果、他のモデルには無い独自のコンビネーション行き着きます。(現在は他のモデルでもまれにこの組み合わせのものがございます)

フロント=Custom Shop ’54
センター=Custom Shop ’60
リア=Custom Shop Texas Special

ちなみにロビン・トロワーモデルは”Tribute”と”Signature”の2モデルがあり、よく混同されていますが、下記のようになっています。

“Tribute” = 名盤”Bridge of Sighs”の発表30周年を記念して100本のみ製作。ヴィンテージスペックで3点止めネック。

“Signature” = 限定生産ではないカタログモデル。アバロンインレイやスパーゼルペグなどを使ったモダンスタイルで4点止めネック。

ピックアップは両モデルともに前述のコンビネーションとなっています。

他にもトッドが製作したギターで有名なものがこちら

“Koicasters”


2003年と2005年に1本ずつ製作されており、写真は2005年NAMMに出展されたもの。

日本を訪れた際に閃いたというギターで、いかにもデザインとなっています。
のちにマスタービルダー/ディレクターとなるRon Thorn(ロン・ソーン)による見事なインレイ、グラフィックアートやギターペイントで著名なDan Lawrenceによるアートワーク、寄木細工のようなボディバックなどオリジナリティ溢れるルックスです。

“Hello Kitty Stratocaster”

2006年に世界限定3本のみ製作されており、日本には1本だけ入荷しています。
その時の価格はなんと税込252万円でした。

~続く~

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