Traynor Amplifiersについて ~余談~

こんにちは。スタッフの鹿毛です。

Traynor / Quarter Horse Microamp

前回はこちらの極小アンプについて取り上げたのですが、今回は「Traynor Amplifiers」というメーカーについてもう少し掘り下げてみようと思います。
こんなアンプ(?)を作ってしまうメーカーなので、クリエイティブな新進気鋭のメーカーなのかなと個人的に思っていたのですが、実は歴史のあるメーカーなのです。

話は遡ること50余年。創業者のPeter Traynorは当時働いていた楽器店「Long & McQuade」でアンプやスピーカーなどの修理をしていました。そのうちコスト削減のためにTraynor本人が最適化したオリジナルのカスタマイズを行うようになり、ついには1963年、研究が高じてベース用アンプヘッド「Traynor Dynabass」を製作し、続いてすぐにそのアンプにマッチしたスピーカーやキャビネットを開発しました。
そこでLong & McQuadeのオーナーはそれらのアンプユニットを販売する契約をTraynorと結び、社名を「Yorkville Sound」に改めます。これがTraynor Amplifiersの始まりです。
その後の1964年、Dynabassはアレンジが施され名称が「YBA-1 “Bass Master”」となります。YBA-1の回路構成はFender Bassmanによく似ていて、Bassmanと同じように当初の開発対象ではないギタリストに使用される道を辿りました。一説ではあのMarshall 1959 “Plexi”もYBA-1を参考にして開発された部分もあるとか。
1969年にはYorkville SoundがPA設備を一手に担った「Live Peace In Toronto」というイベントが開催され、Plastic Ono Band、Eric Clapton、The Doors、Bo Diddley、Chuck Berry、Chicago、Alice Cooper、Jerry-Lee Lewis、Gene Vincent、Little Richardなど錚々たるメンバーが出演し、Traynorの機材を使用したそうです。
それもあってか、1970年代に入ると地元カナダやお隣アメリカを飛び越えヨーロッパ諸国でも使用されるようになりました。
しかし創業者のTraynorは1976年、腰を悪くしてYorkville Soundを退社。ここから急に会社が下火になってしまい、2000年にTraynor Amplifiersが再編されるまでは下降の一途を辿りました。

現在のTraynor Amplifiersは昔のものとは別物、と捉えた方がいいんでしょうかね…。しかしだからこそあんな面白いものが生まれたと思うと少し嬉しくなりますね。

実を言うと僕はFender Bassmanをアンプの中では非常に好んでいまして、まさか気になっていたアンプメーカーがBassmanに似た回路の、同じような「ウケ方」をしたアンプを作っていたなんて…!とテンションが上がりました。
これはぜひ弾いてみたいな、と探し出してでも音を聴きたいものがまた増えてしまいました…。今日から定期的にTraynorサーチをしなければならなくなってしまいましたね。

それでは。

Follow me!