[ニコニコ雑記] 〜2022年によく聴いた音楽の話〜

今回はいたって個人的な話で恐縮ではございますが、2022年の締めくくりに今年よく聴いた“Elliott Smith”の紹介をさせていただきたく存じます。

(NETHERLANDS OUT) NETHERLANDS – JANUARY 01: Photo of Elliott SMITH; 14-08-1998 Lowlands Biddinghuizen ELLIOTT SMITH (Photo by Lex van Rossen/MAI/Redferns)

エリオット・スミスは90年代前半から00年代前半にかけて活躍したアメリカのシンガーソングライターです。
生まれは1969年8月6日。長年に渡って苦しんでいた薬物・アルコール依存を克服し、新作アルバムも完成目前のタイミングであった2003年10月21日に34歳の若さで突然亡くなっています。
(当初は自殺とみられていたが実際には他殺の可能性も否定できないようで、死因は現在も不明です。)

世界的に最もよく知られている曲は、1997年の映画「グッド・ウィル・ハンティング」の主題歌として書き下ろした「Miss Misery」でしょう。
この楽曲はオリジナル・アルバムには収録されていないのですが、映画は高く評価され、この楽曲もアカデミー歌曲賞にノミネートされました。
おそらく、聴いたことがある方も多いのではないでしょうか。

Elliott Smith “Either/Or”, considered an essential album, in the Reading Eagle studio on Tuesday, April 10, 2018. Photo by Jeremy Drey (Photo By Jeremy Drey/MediaNews Group/Reading Eagle via Getty Images)

個人的に最も愛聴しているアルバム「Either/Or」はインディーズとして3枚目のもので、「Miss Misery」と近いタイミングの97年に発売されました。
2020年にローリングストーン紙から発表された”歴代最高のアルバム500選”でも216位に選出されており、後世のミュージシャンへの影響も大きく、彼の代表作と言えるアルバムです。

ここ数ヶ月はエリオット・スミスにハマりまくっているので2日に1回以上のペースで繰り返し聴いておりますが、派手さがないアコースティックの弾き語りをベースとしたシンプルなサウンドのため、聴けば聴くほど味わい深い所謂スルメ系アルバムではないかと感じています。
ローファイで温かみや空気感のある宅録ならではのサウンドプロダクションも聴き疲れするようなことなく心地よいです。

作詞作曲はもちろん全曲本人が担当していますが、このアルバムでは驚くべきことに、歌、ギター、ベース、ドラム、キーボードなどのすべての楽器をエリオット・スミス自身が演奏しています。
(12曲のうち、4曲ではMixも担当!)

Elliott Smith (Photo by Theo Wargo/WireImage)

このアルバムで使用されているギターですが、おそらく多くのパートはエリオットのライブでのメインギターであるYAMAHAの70年代の”FG-180″でしょう。
個人的な印象としては、取り分け煌びやかなわけでもなくジャキっとした派手な音でもない素朴な音色が彼の繊細な音楽性にぴったりマッチしているように感じます。
エリオットの曲では1音下げやオープンCなどのチューニングの楽曲も多いのですが、弾き語りのライブ映像を見ると曲ごとにペグを回したりカポを使用したりして全てこの1本で対応しています。

また、基本的にはフィンガーピッキングを多用するタイプで、ダウンストロークは親指、アップストロークは人差し指で弾いてることが多く、これも柔らかな音色に寄与しているのではないかと思われます。
映像を見ると腕の振りに連動して親指がプラプラと上下していて少し変わったフォームに見えます。
「Either/Or」に収録されている”Angels”ではかなりアップテンポの3フィンガーにストロークもを交えたプレイスタイルも披露しており、最近コピーできないかと挑戦しています。笑

Elliott Smith performs on stage at Leeds Festival, United Kingdom, 1998. (Photo by Martyn Goodacre/Getty Images)

続いてエリオットが使用していたエレキの話です。
2000年のフジロックでは来日も果たしており、その時は4ピース編成でライブを通してエレキギターを演奏していました。
その時にも使用されていたのが、2本のGibson ES-330です。
66〜68年製と思われるアイスティーのもの、69年製と思われるジョイントが浅いロングネックのサンバーストのものです。
この2本はチューニングで使い分けているようでした。
他にもチェリーのものなど、どうやら5本ものES-330を所持していたようです。
ちなみにエレキでの演奏時にはフラットピックも使用しています。

来年の2023年で没後20年を迎えますが、アナログ盤の再販や未発表録音のリリースなどに期待したいところです。

今回はこの辺で。

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