[ニコニコ雑記] Fender製品コントロールのバリエーション その2 ~Vintage Mod. #1 Wiring~

こんにちは、店長の野呂です。

それでは、前回の続きで今回もFender製品のコントロールに関して取り上げます。

今回ご紹介いたしますのが、“Vintage Mod. #1 Wiring”です。

それが搭載されている当店の在庫がこちら!

Fender Custom Shop 2018 1963 Stratocaster Journeyman Relic (Aged Fiesta Red) です。

“Vintage Mod. #1 Wiring”は2015年頃から採用され始めたコントロールで、5wayセレクター、マスターボリューム、フロント&センタートーン、そして独立したリアトーンとなっています。

本来リアピックアップにトーンコントロールがないのがFenderのトラディショナルな仕様ですが、近年のカスタムショップ製ではリアトーンが効く仕様を採用する割合がかなり高くなってきていますね。

それでは内部を見てみましょう。
写真のように、現在パーツ単体でも販売されている”Fender Pure Vintage Wax Paper Capacitor”が2つ搭載されています。

左の写真がフロント&センター共用コンデンサーです。
容量は従来より使用されている”0.1μF”で耐圧150Vを採用しています。

そしてこのコントロールの特徴となっているのが、向かって右側がリア専用の独立したコンデンサーです。(通常リアトーンが効くようになっている場合もコンデンサは一つです。)
容量は”0.05μF”で耐圧150Vを採用しています。
容量が半分になることでノブを絞っていった時の高音域のカットのされ方がフロントやセンターのトーンコントロールより緩やかになるよう配慮されており、こもり過ぎを防止する仕様となっています。

リアピックアップ特有の歯切れの良いサウンドが少しキンキンし過ぎる時、少しだけ角を丸めるような微調整目的で使い勝手がよいかもしれません。

ちなみに、実際のヴィンテージストラトでは一般的に以下のコンデンサーが採用されていました。

・’54〜’58初頭 → “0.1μF” Cornel Dubilier製ペーパーオイルコンデンサ (ビーズワックスディップ)
・’57末期〜’61前期 → “0.1μF” Cornel Dubilier製ペーパーオイルコンデンサ (ビーズワックスディップなし)
・’61前期〜’69 → “0.1μF” レッドダイムセラミックコンデンサ
・’69〜 → “0.05μF” サークルDセラミックコンデンサ

ネット上ではよく「シングルコイルに0.047、ハムバッキングに0.022」が適正だと書かれているのを見かけますが、PreCBS期のフェンダーストラトでは”0.1μF”が一般的だったのです。
また、PreCBS期のテレキャスター(“0.05μF”)、ジャズマスター(“0.033μF”)では異なる数値のものが使用されるなど、モデルのコンセプトによって同じ年式でも使い分けがされていた点が興味深いです。

総括いたしますと、搭載するコンデンサーの数値には厳密な決まりがある訳ではなく、お好みであらゆる数値のものを搭載しても問題がないと言えますね。

私は自身の所有する2007年製のカスタムショップ製ストラトのコンデンサを変更しており、上記のような古そうなバンブルビー(詳細不明)に変更しています。
トーンの効きを緩やかにしたかったので、容量はカスタムショップで使用されている一般的なもののわずか1/10しかない”0.01μF”ほどです。
トーンMAXの時の音の変化はわずかなので、変更前と比較して正直大きな違いはわかりませんでしたが、絞っていった時の挙動は大きく変わりました!
変更前はトーン7程度より低くするとこもり過ぎると感じていましたが、変更後はかなり緩やかに効いていき、絞り切ってもそこまでこもらないので使い勝手が良くなったと感じています。
(ちなみにリアトーンはバイパスのデフォルトの音が好きだったので、リアは変更後もトーンが効かない仕様のままです。)

次回は、今回紹介したコントロールの発展系である”Vintage Mod. #2″をご紹介いたします。

今回はこの辺で。

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