ヒッピーバンド”と”アクティブギター”の繋がり ~Grateful DeadとAlembic~

昨日はビートニクの教科書である「路上」の著者、
ジャック・ケルアックのお誕生日でした!

「僕の人生を変えた本」と語るボブ・ディランをはじめ、
ジョン・レノン、ニール・ヤング、ジム・モリソン…

数えきれないほどのスターが読み耽り、”ビートニク”カルチャーを生み
“ヒッピー”カルチャーに大きな影響を与えた著書でございます。

間違いなく彼無くして当時の文化や音楽はないでしょう。

後世に与えた影響も大きく、アメリカン・ニューシネマの代表作
”イージー・ライダー”もこの世代のお話です。

悲しい結末の映画ですが、個人的にはバイブルのような存在です。

この映画、観たことのある方はお分かりいただけると思うのですが、
サウンドトラックが豪華すぎますよね。

1番有名なのはおそらくSteppenwolfの”Born to Be Wild” かなと思うのですが、
他にもThe Bandの”The Weight”、Jimi Hendrix “If Six Was Nine”などなど名曲揃いです。

個人的にはマイクブルームフィールドがギターを務める
Electoric Flagの”Flash,Bom,Pow”が推し曲です。

さて。

そんなビートニクカルチャーの影響を大きく受けたバンドといえばGrateful Dead。

アメリカを代表する伝説のバンドであり、ヒッピー文化の象徴とも言える存在です。

そのギタリストであり、メインボーカルであり、リーダーであるJerry Gariciaは、
他のギタリストとは一線を画す独特なフレージングとサウンドを持っています。

特に70年代半ば以降の“鉄の塊が飛んでくるよう”と表される
解像度の高いクリアなサウンドは他に例を見ません。

今回はそのサウンドの大きなウエイトをになっていた
“Doug Irwin”製のカスタムギターのお話をしたいと思います。

ダグ氏はジェリーの他にベースのフィル・レッシュやボブ・オコナーなど、
個性的なカスタムビルトの楽器を製作するビルダーです。

フレイムトップやローズトップ、スルーネック、ゴールドパーツなどが使用された、
かなりゴージャスな外観が彼の楽器の特徴となっています。

ジェリーは計5本のDoug Irwin Guitarを所有していました。

Eagle…バーズアイ・メイプルトップのダブルカットボデイ、2ハムバッカー、ヘッドにイーグルインレイ

Wolf…キルト・メイプルトップのややスリムシェイプボディ、ブリッジ下にウルフインレイ

Wolf Jr…キルト・メイプルトップのヘッドレスギター、ライブでは登場したことがない

Tiger…ローズウッドトップ、3ハムバッカー、ブリッジ下に虎のインレイが入ったプリアンプカバー

Rosebud…ローズウッドトップ、3ハムバッカー、ギターシンセ用GK-2搭載

どの楽器も

・ストップテイルピース
・3PU
・5Way PUセレクター、1Vol/2Tone

以上が共通の仕様となっており、1973年までメインで使用していた
改造ストラトキャスター”アリゲーター”の最終形態から引き継がれています。

そして最大の特徴は…

・アクティブ・プリアンプ+エフェクトループ内蔵

まずプリアンプにより、手元での音量調整やケーブルの引き回しによる
音質変化が少なく、これがあの高解像度の音の秘訣となっております。

また信号の流れが

PU→プリアンプ→FXループ→ボリュームコントロール

となることでボリュームノブによるエフェクター(特にフィルター)
のかかり具合が変わることも防いでいます。

その結果…ジェリーのギターからはケーブルが2本生えることとなったのです。

さてDoug Irwin Guitarですが、基本的に入手することはほぼ不可能に近い楽器です。

しかし、熱狂的デッドヘッズとしてどうしても近い音を手に入れたい方には
一つの最適解がございます。

Alembicです。

確かにアクティブギターで似た構造です…
しかしなぜAlembic一択なのかと言いますと。

1970年代にAlembicのビルダーを務めたRick Turner氏は
Grateful Deadの楽器担当として働いており、
伝説の”Wall of Sound”に関わっている張本人なのです!!

1978年にターナー氏はAlembicを去りますが、
Alembicには今もJerry Garciaモデルとして

Wolfシェイプの”Further”

Tigerシェイプの”Tribute”

この2モデルがラインナップされています。

加えてEagleのボディシェイプはMSGに引き継がれ、

ボディバックについている金属の装飾はAlembicのロゴに引き継がれました。

今なおAlembicがDeadの血を引いていると思うと
ファンとしてはとても感慨深いです。

デッド・ヘッズの皆様、
Alembicを見かけたら是非1度試して見てください!

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