フェンダーカスタムショップ設立と発展のキーマン ~John Page~

フェンダーショップ設立時からのオリジナルメンバーでカスタムショップを牽引した人物。
2000年代のカスタムショップギターに付属する認定書のサインに彼の名前を見たことのあるという人も多いのでは無いでしょうか?
またここ数年では本人の名前そのままのブランド“John Page Guitars”“John Page Classic”も有名ですね。
元マスタービルダー? マネージャー?

今回はジョン・ペイジ氏について少しだけ深掘りしてみます。

~John Page~

1957年、カリフォルニア州ロサンゼルス近郊のホイッティアに生まれる。
ビーチから近い土地柄もあり、ベンチャーズやディックデイルのサーフミュージック&カルチャーの影響を受けて育つ。
父がキリスト教の説教師ということもあり、厳格に縛られた幼少時代を送っていたジョンは、音楽を感情表現の拠り所とするようになっていき、父がメキシコで買った安くて古いクラシックギターをかき鳴らすようになりました。

両親がベッドで寝ている間にラジオでロックショーをこっそり聴いたり、教会と親の承認するフォークソングを演奏することなどで、音楽的素養を育てて行きましたが、やがて興味はギターそのものに移っていきました。

その頃は父のクラシックギターに安いマイクを巻きつけて古いテープレコーダーをアンプ代わりにしたりして、楽しんでいたそうです。

14歳の頃、ジョンは油田の清掃員のアルバイトでお金を貯めて、テスコのデル・レイモデルをポーンショップで購入することに。
本当はFenderが欲しかったそうですが、金銭的に難しかったからしょうがなかったとのこと。

15歳、特に誰からの師事や教育もない状態で、0(ゼロ)から最初のギターを製作します。
その後、見よう見まねで次々とギターを作り始めました。

本人曰く、”ギターが欲しいけど、お金はないから自分で作るしかなかった”
とのことで、ギターのみならずアンプや照明まで手作りしたそうです。
同時期にはバンドを始めたり、ジュエリーのデザインなどもしていたとのこと。(器用な方ですね)

そしてFender社が近くにあるという理由もあって、16歳のジョンは憧れのFenderへの就職活動を開始。
LAの金属&プラスチック工場で働きながらバンド活動を続けていたジョンをようやくFenderが迎え入れたのは、彼が21歳の頃。
いよいよFenderでの生活がついに始まりました。

1978年5月21日、21歳のジョン・ページにとってのフェンダー・フラートン工場での初日。
元々DIY的なギターメイカーだった彼にとっての”教育”、”実習”、”チャンス”の全てが1つにまとめられた仕事の始まりです。
まずは工場でのネックのバフ掛けが最初の仕事になりました。

その後、なんと3ヶ月以内にR&D(研究開発部門)に昇進することになります。
非常に早いプロモートですが、他の工場員からは
”俺たちが働いていない様に見えるから、そんなに早く仕事するのをやめてくれ”
と言われることもあったようで、相当バリバリと働いたようです。(この勤労な感じはGibsonのTom Murphyなどと被りますね)
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/tom-murphy-gibson-aged-1999/

モデルメーカーとなったジョンは、デザイナーの図面に基づいてギターやアンプのプロトタイプを作り、フェンダーアーティストのための特別なギターを製作していきます。
その部門ではストラトキャスターを生みの親であるフレディ・タバレス氏(Freddie Tavares)や古参のスタッフと共に働くことになります。
フレディはジョンをたいそう可愛がったそうで、沢山の有意義な指導を受けることに。

23歳、ジョンはギターデザイナーの地位を得ることになりました。

そしてここで自身初となる”フェンダーギター”のデザインを手がけることになります。
マーケティング部門からの指示は、製造コストで”65ドル”で製造できるギターを設計することでした。
1981年にそうして出来上がったギター。

その名も “Bullet”

比較的価格の安いUSAモデルは、コストパフォーマンスに優れたモデルとして新しい顧客を獲得することに成功しました。
またこのモデルで、ブリッジとピックガードを組み合わせたパーツの最初の特許を取得します。

自身のデザインしたギターが工場内で何千本も組み上がった景色を見たことは、人生の中でも非常に印象深い出来事だったとジョンはのちに語っています。

そうして他のVintage、Elite、Performer Seriesなどの多くのシリーズのデザインをスタッフとともに手掛けていきました。

~続く~

写真は”Bullet Bass”。

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