Paul Reed Smith ~ポール・リード・スミスについて~ その37 (生産プロセス4~フレット溝切り&突板)

前回はこちら。
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/paul-reed-smith-36/

サイドポジションマークを入れた後は、フレットの溝切り作業に移ります。

溝切りはCNCルーターによるものとなっており、木琴のように並べられた指板の上を円盤状のノコギリのようなものが、ラディアスに合わせて上下するような動きをしながら切り込みを入れていきます。

ここで指板はようやく完成となり、ネックとの接着へと向かいます。

その前に指板の作業工程とよく似たヘッド突板の製作について。

指板同様にのちの工程で厚みを削られることもあって、ここでもできる限り厚みのあるローズウッドやエボニーを選びます。

最初にベルトコンベアーのようなサンダーの中に通して、片面ずつ削ってより均一な厚みに整えます。

その際に再度クラックや損傷などが無いかしっかりとチェックします。

厚みが整えられてた材(この時点では指板程度の長さの薄い長方体)はヘッドの長さに合わせて7インチの長さにカットされます。

ここでまた木琴のようにカットされた板を並べ、一つのCNCマシンで一気に6枚分のヘッドストックを製作していきます。

お馴染みの筆記体の”Paul Reed Smith”ロゴ、ペグの穴、トラスロッドの穴、ヘッドの外周の溝を掘っていきますが、この時点ではくり抜くまで深く彫らずに長方形の板状の形状を保っています。

ヘッドインレイ(通常のモデルに使用される”Paul Reed Smith”サイン)はポジションバードインレイと同じような工程で手作業で入れられています。

材料は、指板のバードインレイのアウトラインに使われているアイボロイド(人口象牙)やパーロイド(パールに良く似た見た目の人口材)が使用されることが多いようです。

強力な接着剤を上から掛け流した後は、ポジションマークの時とは異なり、乾燥箱に入れて長時間待つことはせずに、接着剤の硬化促進剤をかけて10分だけ待ちます。

その後またサンダーの中を通して、先にインレイの入れられたトップ側を削り表面に付着した接着剤を削り落とします。

続いて、バック側を削ることで、外周部、ペグの穴、トラスロッドの穴がパズルのようにポロッと落ちるように取られます。

ちなみにサンダーは工程を経るごとに目が細かいものになっていきます。(紙やすりの目が粗いものから細かいものに)

これでヘッドの突板の完成です。

~続く~

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