Who is George Blanda? ~レジェンドと称されるビルダー~ その3

第一回と第二回はこちら。
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/who-is-george-blanda/
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/who-is-george-blanda-2/

ハンク・マーヴィンストラトキャスターやエリック・クラプトンモデルに加えて、ジェームス・バートン(James Burton)モデルの製作もジョージにより主導されたものでした。

ジェームス・バートンシグネイチャーモデルのプロジェクトは実はどのシグネチャーモデルよりも早く案が出ていて、1981年の時点から進められていました。

フェンダーシグネチャーモデルのコンセプトは2通り。
(1) アーティストがすでに使用しているギターの完璧なレプリカの作成
(2) アーティストのニーズに応えたまったく新しいモデルの作成

ジェームス・バートンモデルは(2)を選びました。

そして作成されたのが、ストラトのように3ピックアップを搭載したテレキャスターで、ピックアップにはレースセンサー(Lace sensor)をチョイス。
トレードマークであった1969年製のペイズリーレッドテレキャスターを参考にしたオリジナルデザインのペイズリー柄のフィニッシュとなります。(ペイズリー以外もあり)
ジェームスはジョージと何度も何度もやりとりを繰り返し、最終的な設計やデザインを決定しました。
ようやく製作された最初のプロトタイプは、1988年後期に作られました。
そこから更に相当数のプロトタイプの作成を経て、ようやく1990年の冬のNAMMにてようやくお目見えとなりました。
実に最初に話が持ち上がってから実に9年もの月日をかけてプロダクトとしての完成を迎えることになりました。

ハンク・マーヴィン氏へのストラト、アメリカンスタンダードシリーズ、エリッククラプトンモデル、ジェームス・バートンモデル等の時期に並行しつつ、ジョージに代わり、マイケル・スティーブンス(Michael Stevens)とジョン・ペイジ(John Page)によりいよいよカスタムショップが発足されていきます。
その経緯や様子は下記のJohn Pageのブログへどうぞ。
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/john-page-2/

当時のR&D部門とカスタムショップは蜜月な協力関係にあったこともあり、初期のフェンダーアーティストモデルはUSAラインまたはカスタムショップ製のどちらであろうとも”全て”マスタービルダーとR&Dのジョージやダンと力を合わせてデザインされたものでした。

その一つはフェンダーのシグネイチャーモデル第2弾のイングウェイ・マルムスティーンモデル。
(第1弾はエリック・クラプトンモデル→こちらはまた別の機会に詳しくご紹介します)

このプロジェクトもまたジョージとダンにより1986年に始められました。
この時はちょうどAmerican Standardモデルが最終段階に入った時でした。
(余談になりますが、イングウェイモデルは、実はフェンダーからのギターが初のシグネチャーではなく、それ以前にシェクター(Schecter)からスキャロップ指板のストラトタイプ”YM-1″というモデルが出ています。)

ジョージとダンはロングアイランドでのイングウェイのコンサートへ行き、コンサート後にシグネチャーモデルのスペックを決める話し合いの場を設けます。

イングウェイからの一言目は
“あなたたちが完全に忘れてしまっているものをお見せしよう”
と言って、自身の持つヴィンテージギター達のコンター部分を見せました。
まるで70年代~80年代までのコンターの変化が自分の責任であるかのように言われたそうです。
(あくまでジョージがそう感じたということですが)
これを受けて、コンターは出来る限りヴィンテージの形に近いものにすることになります。

またその話し合いにアメリカンスタンダードモデルの最初の6本を持っていったところ、イングウェイは2点支持トレモロがとても気に入り、それはそのまま採用されることに。

ネックシェイプ、好みのスキャロップ加工の形、高さを下げきった位置のミドルピックアップのセッティングなどなど、細かい点まで話し合いながら決められたジョージにより作成されたノートは、設立から1ヶ月経ったばかりのカスタムショップのマイケル・スティーブンス(Michael Stevens)とジョン・ペイジ(John Page)に託されます。

そしてマイケルによりプロトタイプが製作され、本人の承認を受けることになります。
~続く~

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