ビンテージ楽器の外観の、経年による変化について

こんにちは。スタッフの鹿毛です。

前回までは「現行」のラインナップについてお話をしていましたが、
今回は勇気を出して、僕が今まで撮影などを通して観察したビンテージ楽器について取り上げていきたいと思います。

当店はFender/Gibsonのカスタムショップの在庫及び流通は国内に於いて(国外に於いても⁉︎)随一だと僕は思っていて、カスタムショップ製品は撮影の工程上穴が開くほど見ているつもりです。
しかしながら、ことビンテージに関してはもっと詳しい方がごまんといらっしゃるのでは…。と思うのですが、やはりエイジングについて語るなら、オリジナルを避けて通ることは出来ないだろう…。とも思います。
なので、開き直って超個人的な着眼点で、タイトルの通り”外観”についてのみお話しようと思います。



Fender 1964 Jaguar (Candy Apple Red/Matching Head)

まずは僕の最も愛するギター、Jaguarです。PreCBS期1964年製です。
経年により暗くなったCandy Apple Redにヤケたホワイト・ガード、少し曇ったコントロールプレート。錆びたスタガードのポールピース。指板に目を向ければ真っ黒なハカランダ指板に、経年により変色したドット・インレイ。細かにウェザーチェックの入ったヘッド裏も見逃せません。
初めて見た瞬間から僕はずっと筆舌に尽くし難いままで、いまだにこのギターをなんと言い表したらいいのか僕にはわかりません。強いて一言だけ述べるのなら、「最高」以外には何も言えません。
一目見た時から「最高」以外に何も言えなくなるJaguar、必ず手に入れます。


Gibson 1965 ES-330TD (Cherry)

幾度か他のスタッフのブログにも登場している1965年製ES-330TDです。
ビンテージGibsonはもうウェザーチェックですね…。個人的にはウェザーチェックの話しかしたくなくなります。
謂わゆるハコモノは、他の楽器を見てみても思うのですが縦に入るチェックが特徴的なように思います。アーチがチェックを際立たせ、チェックがアーチを際立たせる様は惚れ惚れします。
当店スタッフにも現在進行形でハコモノを探しているスタッフがいるのですが、是非最高のチェックの入ったギターをゲットして欲しいです…!ついでに言うと撮影させて欲しいです…!
パーツに目を向けてみると、経年で暗くなったCherryフィニッシュにブラックのピックガードの落ち着いたコントラストが風格を感じさせます。バインディングが巻いてあることによって、シンプルながらも高級感を損なわずルックスの”締まり”の部分を担っているように思います。
また、初期のブラックではなく’62年後期から変更になったクロームのPUカバーが、同じく銀色のブランコ・テールピースと合わさって、アコースティックギターやピックギターとは違いホロウ構造でもエレキギターとしての一線を引く、とても良いアクセントになっている様に思います。
経年による変色フェチの僕としては、パーロイドのブロック・インレイの変色具合にも目が行ってしまいます。
インレイへの指板からの色移りまで再現されているエイジド・ギターはカスタムショップからはなかなか出てこないので、そこまで拘ろうとするとやはり自然とビンテージを求めるしかないのかな、と思います。本当にカッコいいギターを手に入れようと思ったら細部の細部までカッコいいものが欲しいですからね…。


Gibson 1969 Les Paul Custom (Ebony Black)

こちらは1969年製Les Paul Customです。
このギターも縦のチェックが特徴的ですね…!個人的にはLes Paul Customも縦のチェックが目立つ様に思います。黒いギターとウェザーチェックの相性は最高なので、このギターも例に漏れず光の筋が走り抜ける最高のルックスだと思います。
思えば、ウェザーチェックに目覚めたのもこのギターのチェックを目にしてからだった様な気がします。
パーツはやはり、ふんだんに盛り込まれたゴールドに目が向きます。劣化したゴールド、最高です。また、ノブのトップのゴールドが黄色味の強いゴールドなのも良いですね。リイシューのものではまずお目にかかることが出来ない完璧な具合のゴールドパーツは、それだけでこのギターのルックス的価値を跳ね上げている様に思います。
バインディングの変色も目が離せません。黄色でもなく、単純なクリーム色に変色したワケでもない、言うなれば象牙色のような具合に変色したバインディングは漆黒のボディに於いて多大なアクセントになっていると思います。


Fender 1979 Jazz Bass (Antigua/Maple Fingerboard)

非常に強く目を引くAntiguaフィニッシュのJazz Bass、こちらは今回紹介する中でも少し新しめの1979年製のモデルです。
斬新で特徴的、非常に攻めたカラーリングですね、個人的にはずっと先までこの奇抜なフィニッシュが語り継がれていって欲しいです…!
チェックは本数的には少なめですがそれぞれが深く刻まれています。さらにフィンガーレストやピックアップガード、ブリッジカバーの変色した取り付け跡、1弦の下部辺りが変色しているのは指が長年置かれていたのでしょうか。コントロールプレートもかなり傷が目立ちますね。パーロイドのブロック・インレイや指板のバインディングも経年で変色しています。
全てがこの楽器の歴史を感じる外観となっています。想像がかき立てられますね…。




Fender 1977 Stratocaster (Black/Rosewood)

これも少し新しめ、1977年製のStratocasterです。最後は個人的にかなり見た目を気に入っている1本を取り上げたいと思います。
黒い楽器が擦れによって白濁している様にも見える状態が個人的にとっても好みでして、この楽器は不規則に入ったチェックと相俟って、光に当たるともう黒には見えなくなってしまう所が最高です。
ノブが経年で変色して、さらに若干歪んでいるのも見逃せません。金属パーツも独特のまろやかさの出た経年具合で個人的にはたまりません。
そしてめちゃくちゃに変色してチェックの入ったヘッド表面に、派手に杢の入ったネック及びヘッド裏面も派手で良いですね…!
この辺りの年代のストラトキャスターは、細部に目を凝らすと若干ボディシェイプも異なっていてとても面白いのですが、その辺りのお話はまた今度取り上げたいと思います。

今回も本当に見た目の話しかしていないのですが、見た目だけでこんなに楽しめるなんてやっぱり楽器は最高ですね…!
今の所、それほどたくさんのビンテージを注視できていないので、これからもっとたくさんの楽器を注視できると思うと本当に胸が踊ります。
僕も一応ビンテージの範疇に入る様な楽器を1本所有しているのですが、その楽器は手に入れた時からもうあからさまに「Vintage Modified」の様相だったので、次は個人的に最強のビンテージを手に入れたいです…!

それでは。


Fender 1974 Mustang (Competition Red)

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