史上最高の「スチューデント・モデル」メーカー”Danelectro”について ~前編~

こんにちは。スタッフの鹿毛です。
今回は史上最高(!?)の「スチューデント・モデル」メーカー”Danelectro”について取り上げていきたいと思います。
僕はDanelectroのギターは2本所持しています。1本が3/4スケールでいつでも手に取りやすい”Dano Pro 2nd Reissue”、もう1本は見た目買いした”DC 59 “O” Psychedelic”です。どちらも非常に好きなギターなのですが、当店にDanelectroのギターが入荷するたびに「どう?買わないの?」と他のスタッフさんに振られるので戦々恐々としています。

そんなDanelectroの製品ですが、特徴としてはまず圧倒的に安価であることですね。これはメーカーの設立当初から創設者のNathan Danielがモットーとしていたようで、安価でありながら品質の高いものを作り出していたことを非常に誇りに思っていたそうです。
社名の由来は、姓の「”Dan”iel」に電気の意の「electro」を組み合わせたシンプルな造語となっています。
ここでざっとDanelectroとNathan Danielの歴史をさらっておきます。
ネイサンは、エレキギターの製造を開始する前にはラジオの修理工や軍に関わる通信技師などをしていました。
ラジオの修理工から楽器製造へ…と聞くと思い浮かぶ人物がいますね…。そう、Fender社の設立者Leo Fenderですね。こういった経歴以外にもネイサンとレオには「ギターを演奏しない」という大きな共通点がありました。
そして奇しくもレオと同じく楽器製造への入り口はアンプで、”Daniel Electrical Laboratory”と銘打った工房にて主に当時のEpiphone製アンプの下請けを行っていました。その後Epiphoneとの契約が解除されると、自身のDanelectroにてアンプを製造し、また「Airline」や「Silvertone」ブランドのアンプの製造を下請けするようにもなりました。
そしてついに1954年、エレキギターの製造に乗り出します。アンプを下請けしていたSilvertoneブランドからは既に「Harmony」や「Kay」、日本の「Teisco」などのメーカーが主に廉価なアコースティック・ギターなどを提供していましたが、同様に廉価なエレキギターの製造をネイサンに持ちかけたそうです。D’Angelico社の設立者John D’Angelicoとは親しい間柄であったことから、開発の際にアドバイスを求めることもあったそうです。

それではデザインの時系列順に楽器を取り上げていきます。


Danelectro 56 U3 (Sparkle Green)

まずは1956年に製造を開始した”U”シリーズです。写真は90年代後期から00年代にかけて製造されていたリイシューの”U3″モデルです。
“U”シリーズのボディ形状は謂わゆるシングルカットスタイルで、それにマイク数の”3″がシリーズ名の後ろに付いている非常にわかりやすいモデル名が付けられています。
オリジナルの”U3″はピックアップ3基が全てスラントマウントなのですが、リイシューのものは3基ともブリッジに平行にマウントしていますね。またコントロールもオリジナルはスタックノブが3つなのに対し、リイシューのものはマスターのボリューム/トーンとなっており、ピックアップセレクターの6点ロータリースイッチ”Select-O-Matic”や、ブロワー・スイッチが新たに取り付けられています。
ブリッジサドルもこのモデルは金属製6連タイプの表通しのものになっていますが、オリジナルは「ローズウッド・サドル」になっています。
個人的にはどちらにも甲乙付け難いルックスの良さが感じられます。3つのスタックノブという恐ろしくわかりやすくそして可愛らしいコントロールに、かたやピックアップセレクターのロータリースイッチにブロワースイッチ。僕は多く取り付けられた使いにくいスイッチ、特にロータリースイッチに目がなく、その使いづらさにむしろ愛着が湧いてしまうほどロータリースイッチが好きなのです。


Danelectro Long Horn Guitar (Black)

次に1957年に製造を開始した通称「ロング・ホーン」シリーズです。写真はリイシューのものになります。
初めて見たときには自分の頭が若干おかしくなったかと思いました。この奇抜なデザインは、一説には1800年代初頭にフランスなどで流行したリラ・ギターという楽器にインスパイアされてできたのでは、と囁かれています。ロング・ホーンだけではなく、Danelectroの楽器のデザインはネイサン本人にも出自がわからないそうです。


また、ロング・ホーンのモデルにはこんなものもあります。これは”Guitarin”というモデルで、31フレットまで打たれておりギターでありながらマンドリンの音域までカバーできるという「スグレモノ」なのです。
こんな楽器が目の前に現れたら間違いなく飛びついて買ってしまうと思います…。

建材や家具材として用いられていた「Masonite」をボディに使用し、メゾナイトボディと並んで大きな特徴となっている「Lipstick Pickup」の搭載を基本設計に置き、非常にフラットな指板面、アルミニウム製のナットを採用。
こうしたサウンドや演奏性に関わる部分でもさることながら、他にはない不思議な形状のボディやピックガード、スタックノブなど、ルックス面に於いても脈々と受け継がれ続けている革新的で独創性の高いものがたくさんあります。
それらこそが、DanelectroがNathan Danielによって創設された時から存在する確かな思想に、現在も触れることのできる大きな1つの要因なのでは、と思います。
次回は最も知られている「ショート・ホーン」スタイルのものから、近年のものにかけて取り上げていけたら、と思います。

それでは。


Danelectro Guitarlin (Black Sparkle)

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