Todd Krause ~アーティスト・ビルダー4~

前回はこちら。
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/todd-krause-3/

“Tribute Series Eric Clapton Blackie Stratocaster”の製作に関してのトッドのインタビュー。

インタビュアー: 100万ドルのギターを手に取るというのはどのような気持ちでしたか?

トッド : 100万ドルのギターとは感じなかった。値段を感じることよりも、そのギターの持つ歴史とそして同一人物が弾き続けたギターのみが持ち得るパーソナリティのようなものを感じたよ。

インタビュアー: オリジナルブラッキーを購入したギターセンターはこの製作に関わりましたか?

トッド : いえ、関わっていません。ギターセンターの購買マネージャーであるMike Doyle(マイク・ドイル)が、製作途中の段階で製作途中のクローンに間違いがないかチェックするために何度か実機を持ち込んでもらっただけだね。
チェックは最小限の人数でされており、主にトッドとリー・ディクソンのみによるものだった。

インタビュアー: 正確なクローンを製作するために、ブラッキーが経験した過去の出来事を再構築する必要がありましたか?

トッド : はい。マイク・エルドレッドはその作業を”Guitar Forensics”(ギターの鑑識)と呼んでいました。ネックのリフィニッシュ、汚れが染みた上からのペイント、タバコの跡、剥がれたデカール等々、このギターがどんな経緯で現在の状態になっているのかをトレースしました。

インタビュアー: 1986年当時、John Carruthers(ジョン・カラザーズ)がネックのコピーを製作しています。その時点でかなり使い込まれた状態でしたが、現在のネックはどのような状況でしたか?

トッド : ブラッキーのネックの大きな問題は、1弦が弦落ちしてしまうことでした。リフィニッシュとリサンディング(研磨)が繰り返し施されたことで、ネックは幅は狭くなり、指板面のエッジが丸くなってしまっていたためです。

ちなみにジョン・カラザーズのネック製作についてはこちらのブログでも触れています。
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/eric-clapton1/

インタビュアー: 弦落ちしてしまう状態をも複製しましたか?

トッド : いいえ、これについては話し合った結果、プレイアビリティを重視して、ネックの幅を狭くすることは避けました。やはり販売するからには演奏性に問題が無い状態にしないといけないという結論になったためです。
購入した高額なギターが弦落ちしたら誰でも嫌だろうと考えました。

インタビュアー:何人のマスタービルダーがこのギターを製作しましたか?

トッド : 全員です。(ホロウボディのベネデッドギターに専念していたStephen Sternを除く)

インタビュアー: あなたの役割は?

トッド :プロジェクトのリーダーです。プロトタイプを製作し、エリック・クラプトンとテックのリー・ディクソンから承認をもらうことでした。彼らはプロトタイプに満足していたそうです。

インタビュアー: どのようにマスタービルダー全員を一つのプロジェクトに参加させましたか?

トッド :全員が一定期間このプロジェクトのみに本当に集中するために、他の仕事を上手くさばきスケジュールを組みました。情報解禁まで極秘裏に進めていました。

こうしてカスタムショップの威信をかけ、ビルダー全員で一気に製作されたブラッキーは2006年11月24日AM10:00ブラックフライデーに販売開始。

これらは即完売したそうで、そのうちの102本はなんと販売開始から2分で売却となったそうです。

ちなみに当店でもこの貴重なブラッキーが販売中となっております!!(2024/4/8現在)
こちらはグレッグ・フェスラーにより製作された1本です。

販売ページ↓
https://www.niconico-guitars.com/html/products/detail.php?product_id=12292

グレッグ・フェスラーについてはこちら↓
https://www.niconico-guitars.com/html/blog/staffblog/greg-fessler-1/

~続く~

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